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脳腫瘍の手術直前に夫宛にお別れ用のメールを送信していた話

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さよならメール

手術数日前や前日は不安で胸がいっぱいになります。家族や看護師さんには明るい顔を見せながらも、どうしても『最悪な結末』も考えていました。

私は消灯時間になると悲しさも頂点に達し、カーテンに囲まれた独りぼっちの病室で

 

もしかしたらお別れかもしれない…。

 

そう勝手に悲観してメソメソと泣いたりしました。そんな時にコツコツと万が一のお別れ用のメールを夫宛に書き綴っていました。

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脳腫瘍に浸食されてスマホの扱いも分からなくなる

脳腫瘍にジワジワと侵されていたのでスマホの扱いも入院する時は、既に少しずつ分からなくなっていました。

入力の仕方も絵文字やデコメの入れ方も変換の仕方も、基本的な事も分からない。そんな自分にイライラするので、入院中は触れないようにしました。

スマホはマナーモードのままにして、貴重品入れの引き出しに鍵をかけて入れて置きっ放しでした。たまに取り出して愛犬の写真を眺めたりしていました。

私は入院中も友人や知人には病気の事は一切知らせず伏せたままでした。静かに過ごしたかったのと、自分自身で病気だと言うのが嫌だったからです。

『きっと友人と話したりメールしても無理して疲れるんだよな』と、ぼんやり考えました。入院中は家族以外に会わないと決めました。

友人と会話したり会って気分転換になる方は連絡する事をオススメします。私は疲れちゃうタイプなので。なので私の入院生活は独りでの時間が長かったです。

でもリハビリが多かったですし、孤独では無かったです。明るい看護師さんや多くのスタッフの方に囲まれた過ごしていたので淋しい気持ちはありませんでした。

脳腫瘍の手術直前に夫宛にお別れ用のメールを送信

手術日が決まるとその日ばかりが気になります。カレンダーを見てはドキドキ…。その数日前や前日に検査や説明もあります。

看護師さんとの会話も今までの「今朝は寒いですねぇ」から「もうすぐ手術ですね」と一変し、一気に緊張感が出ました。

 

そうか。手術するんだね…私が。

 

そう実感して急に『手術をしても意識が戻らなかったら』『手術をして、もしもの事があったら』と、考えるようになりました。

不安というか焦りのような気持ちに駆られました。楽観的な気持ちが大部分を占めるのですが【万が一の場合】という言葉だけが消えませんでした。

 

 

夫にだけは何か伝えておこう。

 

 

私たちは当時結婚1年目でした。まだ1周年も迎えていませんでした。そんな時に脳腫瘍が見つかりました。

披露宴も新婚旅行もせず、結婚半年後に小さな子犬を里親募集で家族に迎えました。貧しいけれどスタートしたばかりでした。それが私の病気で一気にグラグラと揺らいでしまいました。

小さな愛犬も私が急に入院したことで不安とストレスで吐いたり、トイレシートを破いたりと普段しないイタズラをする始末…。夫はその対処で更に怒り爆発。負の無限ループ…。

 

無事に退院できれば元の生活に戻るはず

 

そう頭の中では分かっているのですが、手術してみないと実際の結果はわかりません。

『もしかしたら麻痺が残るかも…。腫瘍を取っても今と変わらない状況なのかも…』そんな悲観的な気持ちも混在する日々でした。

手術までの数日、私は夫に今までの感謝とこれからの事を1日数行ずつ地道にメールに書き溜めました。指も頭も機能しないので本当に地味な作業でした。

数行打つのに何時間も掛かっていました。しかもせっかく打ったメールを保存し忘れるというボケを何度もしていました。今ならサクサク打てるのに…。

内容はザックリ書くと

  • 結婚1年にも満たないのに病気になって申し訳ない。
  • もしも先立ってしまったら更に申し訳ない。
  • 結婚生活短かったけど、楽しかったです。
  • 愛犬を宜しくお願いします。

というような事です。

実際はもっと濃い中身ですけどね。こんな無愛想な文面じゃないですよ。

本当は「銀行の暗証番号とか残した方がイイのかな〜」と悩んだのですが元気に戻ってくる筈なので不要だろう…と。私の預貯金も少ないから別に構わない気もしましたし。

そんな万が一のお別れメールを手術当日の朝、夫に送信しました。夫には「手術中に見て」と伝えました。夫は「え?ナニ?何を送ったの!?」と困惑していました。

11時間近く脳腫瘍の手術を受けている間に夫は私からのメールを読み、返信を送ってくれていました。私がそのメールを読んだのは手術から2日後でした。

▼一般病棟での様子はコチラです。

脳腫瘍(良性の髄膜腫)の摘出手術後は検査して一般病棟へ
脳腫瘍を摘出したあとは集中治療室で1〜2日過ごします。全身麻酔が効いているので手術初日は意識が朦朧としていますし、あらゆる医療器具で手足の自由が利かない状態です。そんな状態ですが手術直後には家族とも面会できました。

 

集中治療室から一般病棟へ移り、無事に手術も成功しスマホが扱えるようになってからです。手術後は滑らかに動く指でスマホを操れるのが、とても嬉しかったのを憶えています。

手術後に夫から「あんなメール送ったらダメだろ!」と怒られましたが、夫からのメールには祈るような気持ちで『手術は無事に成功するから大丈夫だよ』と書いてありました。

 

長い長いメールでした。時間差がありましたが思わず泣けてしまいました。

 

普段から思っている言葉を実際に口に出すのは難しいかも知れません。でも手紙やメールなら時間を掛けて書き出す事ができます。

もしも麻痺で書く事が困難ならばICレコーダーなどに吹き込んで渡すことも可能です。

麻痺が進んでいると、しゃべるのも難しいかも知れませんが気持ちは伝わります。

私は何もしないまま手術台に上がるにはモヤモヤとした気持ちがありました。人生の区切りとして整理をつけておきたかったので、書く事で勇気が出ました。

『どっちに転がっても想いだけは伝えておきたい』そんな感じでメールを書きました。そんな大事な夫からのメールもスマホが大破したので消えてしまいました…。

時間を経て、このおかしなメールも私たち夫婦の中では笑い話になっています。病後の支障はありますが現在は後遺症もなく生活できています。

 

もしも病気や入院で辛い状況でしたら『ご両親、兄弟、旦那さん、奥さん、お子さん、親友…』そんな大事な人に想いを書き綴ってみてはいかがでしょうか?

たとえ送信ボタンや、郵便ポストに出せなくても、ただ書き留めるだけでも穏やかな気持ちになれる筈です。

入院中は気持ちのやり場をどこにも出せずに苦しいです。鬱憤が溜まったら日記でもメモ帳でも何でも構わないので、どこかに吐き出しましょう。

▼悩みを相談できるカウンセラーがいる病院もあります。

入院中や手術前に不安や悩みが…カウンセラーに相談できる病院も
脳腫瘍と突然宣告され戸惑ったままの入院生活。不安と悩みを抱えたまま手術日が迫っていたある日、作業療法士さんから【カウンセラー】を受けてみてはどうか?と言われました。このようにカウンセラーさんや相談員さんを設置している病院もありますので、不安な日々を過ごしている方は利用してみるのも良いかと存じます。

苦しい闘病生活の中で、少しでも気持ちがラクになって頂きたい…と願っております。