3つの代表的な原発性脳腫瘍についてご説明しています。
神経膠腫(グリオーマ)、髄膜腫(ずいまくしゅ)、下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう)の3つです。それぞれの脳腫瘍の発生場所をイラストで表しています。
全体的な発生率などもご説明しておりますので参考にしてみてください。
脳腫瘍の3つの代表的な原発性脳腫瘍について。
それぞれの脳腫瘍の発生場所のイラストを書いております。大まかな場所を表しております。
私は髄膜腫でしたが左脳側にみつかりました。
神経膠腫(グリオーマ)とは?
脳は神経細胞と神経線維の間を埋めている神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)から作られています。この神経膠細胞からできる腫瘍が神経膠腫(グリオーマ)です。神経膠腫(グリオーマ)は浸潤性に増殖し、正常組織との境界がはっきりしない事で治療を難しくさせます。
神経膠腫(グリオーマ)は脳腫瘍の約20~30%を占めています。
また、脳の機能を保つために、治療による影響をできる限り少なくする必要があります。以上の点から神経膠腫(グリオーマ)では腫瘍のすべてを手術によって切除することが難しく、一部を切除した後に残存腫瘍に対して放射線や抗がん剤による治療を行うのが一般的になっています。
神経膠腫(グリオーマ)の多くは悪性ですが、一部では切除可能なものもあります。髄液の流れに乗って脳のほかの部分に転移することもあります。
神経膠腫(グリオーマ)は腫瘍化している細胞の種類によって分類されます。細胞が腫瘍化したものを、それぞれ星細胞腫、乏突起膠細胞腫、上衣腫といいます。
最も多くみられるのは、星細胞腫で、その悪性度によって大きく4段階(グレード1~4)に分けられます。
グレード4の星細胞腫が膠芽腫と呼ばれ、脳腫瘍の中でも悪性度の最も高い腫瘍の1つとされていますが、最近新しい抗がん剤が認可され、その効果が期待されています。
尚、段階が最も進んだ患者さんの5年生存率は8%前後とされ、人に発生する『がん』の中でも5本の指に入るぐらい、治療効果の悪い腫瘍です。
なので、神経膠腫(グリオーマ)に罹患されると長期間、病気と生活を共にする必要があります。
髄膜腫(ずいまくしゅ)とは?
脳を被っている髄膜(頭蓋骨の内側にある脳を包んでいる膜)の細胞から発生し、やがて脳をゆっくり外側から押すように大きくなります。
この髄膜種は脳をカバーしている頭蓋骨に入り込むこともあります。脳腫瘍の中でかなり頻度が高く女性に多い腫瘍です。
そのほとんどは良性ですがまれに悪性化することもあります。脳ドックで症状がなく偶然みつかることもあります。
これは診断技術の進歩により、無症候性脳腫瘍と呼ばれるまったく症状を示さないまま、髄膜種と診断される機会がふえている結果と考えらています。
原発性脳腫瘍の中では、近年もっとも発生頻度の高い脳腫瘍です。
下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう)とは?
まず聞き慣れない下垂体についてご説明を。両目の間、鼻の奥にある『トルコ鞍』と呼ばれる骨のくぼみの中に納まっているホルモンの中枢の事です。
このホルモンは全身のバランスを司っていて、たとえば子供が成長するときに必要な成長ホルモンや月経の周期をつかさどる性腺刺激ホルモンなども、ここから全身の臓器に送っています。その下垂体の一部の細胞が腫瘍化したものが下垂体腫瘍です。
原発性脳腫瘍の中で3番目に多い腫瘍です。
- ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腺腫)
- ホルモンを分泌しないもの(ホルモン非分泌生腺腫)
の2種類があります。
更にホルモンを過剰に分泌する(ホルモン産生腺腫)には…
- プロラクチン産生腺腫
- 成長ホルモン産生腺腫
- 副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)などがあります。
ホルモンを多く作らず細胞が腫瘍化したものが全体の約40%。ホルモンを普通よりたくさん出すもの中では、プロラクチンと呼ばれ乳腺に作用して乳汁を分泌させものが約30%。
成長ホルモンと呼ばれ体の成長に関係するホルモンを作るもの約20%。その他のホルモンを出すものが約10%です。
▲それぞれの腫瘍に関する治療法について書いてあります。お時間があればお立ち寄りください。